miles / disc

マイルス・デイヴィスのアルバムを年別に紹介

1959年のMiles Davis

・名作「カインド・オブ・ブルー」を発表し、「スケッチ・オブ・スペイン」を制作し始める。マイルスのキャリアの中で重要な年。

・8月25日に、クラブ「バードランド」の前で、言いがかりをつけられた警官に殴られ連行されるという「マイルス殴打事件」が起こる。この事件は大きな騒動になり、マイルスの流血写真と共に報道された。この件でマイルスは白人と闘う黒人というイメージとともに知名度を上げた。

「この出来事は、オレを永遠に変えた。オレを、はるかに気難しく、冷淡な人間にしてしまった。」マイルス・デイビス自叙伝Ⅱ p.41

Kind of Blue

Kind of Blue

「カインド・オブ・ブルー」

録音:1959

リリース:1959

[1959/03/02]

[1959/04/22]

Miles Davis — trumpet

Julian "Cannonball" Adderley — alto saxophone (except on "Blue in Green")

John Coltrane — tenor saxophone

Bill Evans — piano (except on "Freddie Freeloader")

Wynton Kelly — piano (on "Freddie Freeloader")

Paul Chambers — double bass

Jimmy Cobb — drums

-------------------------------------

マイルスの代表作で、これまでに世界で1000万枚以上のセールスを記録しており、今も売れ続けているロングセラー。

・本格的にモード奏法で作られた作品

・この時点でのメンバーは、マイルスとジョン・コルトレーン(テナー・サックス)キャノンボール・アダレイ(アルト・サックス)、ビル・エヴァンス(ピアノ)、ポール・チェンバース(ベース)、ジミー・コブ(ドラム)、一曲のみウィントン・ケリー(ピアノ)となっている

ビル・エヴァンスが重要な働きをした作品。当時バンドを脱退していたが(後任がウィントン・ケリー)、この作品のレコーディングに際して呼び戻されている。彼はマイルスに、ラヴェルなどのクラシック音楽をよく聴かせていたという。また、本作のライナーも担当し、バンドの音楽の方向性を水墨画を例に出して解説した。

・クレジット上では全曲がマイルス作曲だが、現在では"Blue In Green""Flamenco Sketches"ビル・エヴァンスとの共作とされることが多い。

・マイルスの口癖を曲名にした、最も有名な"So What"で使われるコードは2つのみで、その上で旋律主体のソロが繰り広げられる。目まぐるしくコードが進行していく、それまでのビバップやハード・バップとは大きく異なっている。この曲はライブでも頻繁に演奏された。

・レコーディング・スタジオには、マイルスによって音階のみが書き込まれた楽譜が持ち込まれた。

・レコードA面の3曲のピッチが、実際の演奏よりほんの少しだけ高くなっている(演奏スピードが速くなっている)事が後に判明し、1992年頃のCDから正常に戻されている。

・LP、DVD付きの「Kind of Blue: 50th Anniversary Collector's Edition」が存在する。

ジャズ史上最高の名盤とされることも多い作品。

重要度:★★★★★

「『カインド・オブ・ブルー』も、『マイルストーンズ』から始めたモード手法に基づいて作ったが、そこに、オレの記憶に残っている異なった数種のサウンドを付け加えようとした。子供の頃アーカンサスで、教会から家に帰る途中で聴いた、あのすばらしいゴスペルなんかをだ。」マイルス・デイビス自叙伝Ⅱ p.31

Sketches Of Spain

SKETCHES OF SPAIN

「スケッチ・オブ・スペイン」

録音:1959~1960

リリース:1960

-------------------------------------

ギル・エヴァンス・オーケストラとの共演第三弾。

・ギターとオーケストラのために書かれた、ロドリーゴ「アランフェス協奏曲」の第ニ楽章に取り組む。

・ギルのオリジナル曲も含まれている。

・レコーディングに非常に時間と予算を要した。完成には15回のセッションと6ヶ月の編集作業を要したという。

テオ・マセロが初めてプロデュースしたマイルスの作品。テオは後に長年に渡ってマイルスの作品をプロデュースすることになる。

・マイルスいわくフラメンコはスペイン版のブルースであるという。また、「カインド・オブ・ブルー」にも"Flamenco Sketches"という曲が収録されている。

ギルとの共演シリーズ中の最高傑作と評価されることが多い。

・引退した闘牛士がこの作品を聴いて感動し、飼っていた牛と戦い殺してしまったという、真偽の定かでない逸話がある。

「Sketches of Spain: 50th Anniversary Legacy Edition」が存在する。

重要度:★★★★★

「『スケッチ・オブ・スペイン』で一番難しかったのは、もともとは歌のパートをトランペットで吹き、しかもほとんどを即興でやってることだった。言葉と音楽の中間というか、それを吹くのが難しかった。……『スケッチ・オブ・スペイン』のレコーディングは、本当に大変だった。」マイルス・デイビス自叙伝Ⅱ p.45

 

「『スケッチ・オブ・スペイン』をやり終えると、オレには何も残っていなかった。すっかり空っぽになってしまった。完璧に、なにもかもだ。」 マイルス・デイビス自叙伝Ⅱ p. 49